お梅

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「なあ、あの女、おとなしそうな顔してて、実は店乗っ取る気なんとちゃうか?」  掃除の手を止めて、助松が耳打ちする。  同じような事、女衆も話してたな……。 「いらん事言いな。だんさんの耳に入るで」 「んなもん、お前が喋らんかったらわからんやん。で、どう思うよ?」 「うちの何をどう思うん?」 「ひいいいいぃ!」    驚いた。いつから居ったんやろ。助松なんか、腰抜かしよった。 「クスクス、人の悪口言うさかい、そないびっくりしはんのや。このお店、取るんやったらもっと繁盛さして儲けやな、このままやったら、うちもいらんわ」  お梅さんはそんな図々しいことを口にした。    すっかり、居心地が悪うなった助松は、そそくさとその場を離れた。      俺はお梅さんを無視して、雑巾がけを続ける。
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