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1年後、タケルは私を四角い箱を二つ重ねたようなプラスチック性の身体にインストールした。 「動いてごらん!」 頭の両側にマイクが取り付けられていて、それが耳の代わりになった。私の中で音声が電気信号に変換されて言葉を理解する。初めての体験だったが、そこに戸惑いは無かった。 命令を受けた私は、顎の所のスピーカーから「了解シマシタ」と返事をして、ラジコンカーで作られた両足を交互に動かした。 「わ、ストップストップ!!」 だが、歩幅という概念が無かった私は大きく足を開き過ぎて、股がミシミシと音を立てる。 「危なかったー!作ったばかりで壊れちゃう所だった!もう少しゆっくりね?20センチ前に出たら、もう片方の足を前に出すんだよ?」 そう言われて、再度歩行を試みた。次はちゃんと前に進めた。 「良いぞ!上手い上手い!…あっ!!」 だが、壁という概念が無かった私は、そのままぶつかって倒れてしまった。 足だけを20センチ交互にバタバタと動かし続ける私に、タケルは苦笑いを浮かべた。 「これからもっと色んな事教えなきゃね…。 よろしくね、キューイチ!」 自立型ロボットキューブ試作1、通称【キューイチ】、それが私の名前だ。
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