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「僕の友達は、キューイチだけだよ」
そう言ってタケルは私に抱きついた。
プラスチック性のボディがペットボトルのようにベコリとへこむ。
私は言う。
「それは違います。私はタケルに作られた。言うなればあなたは神のような存在です。私とは根本的に仕組みが違うので、対等の立場で成立する友達というのには成れません」
さっきのタケルの受け売りだった。私は常々学習する。
タケルは目を丸くした後、頬を膨らませた。
「音声機能を改善したのは良いけど、ちょっと可愛げ無くなって来たねキューイチ…」
「そうですか?私は可愛げ無い。データに書き加えておきます」
「…それじゃあさ、キューイチ。
君を人間にしてあげるよ」
「…私を人間に…ですか?」
「うん。そうしたら、キューイチは僕を友達だと思ってくれる?」
「神である事は変わりませんが…その可能性はあると思います。ですがタケル、私に不備があると思うならプログラミングし直せば良いじゃないですか?」
私がそう言うと、タケルは少し悲しそうな顔をした。
「それだと、意味が無いんだよ」
人間の心は複雑過ぎて理解出来ない。
「約束だよ。キューイチ」
そう言って、タケルは私の頭を撫でた。
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