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「このバイクに操縦方法をインプットしてあるから、接続するだけでキューイチと共有出来るはずだけど、問題は無い?」
ヘルメットとゴーグルを装着しながらタケルが訊ねた。
「ノープロブレムです。交通ルールまで理解出来ました」
聞きながらタケルはシートに股がった。
「よし!それじゃあ行こう!」
それを合図に私はバイクを走らせた。
ガラクタで狭くなった倉庫の中を器用にくぐり抜け、そして、そのままの勢いで外に飛び出し、道路を滑走して行く。
「うおおおおおおお!!!!!!」
タケルが振り落とされそうになっている。足を踏ん張ってなんとかシートにしがみつき、両腕で風を掻き分けながら上体を前に突き出した。
「や、やばい!ハンドル要らないと思って外したから掴まる所が無い!!」
ツルツル滑る私の頭を必死で鷲掴みしながら、タケルは喚いている。
「1度停止しますか?」
「だっ…大丈夫!!コツを掴んだ!」
掴んでるのはコツではなく私の頭だったが、タケルは臆する事なく、このまま海に向かうように指示をした。
海が見えて来ると視界が一気に開け、爽快感がタケルを興奮させた。
「イヤッホーッ!!サイコオー!!!!」
普段こんな事言わないインドア派のタケルがそんな姿を見せると、私の人工知能は新たなデータの書き換えで忙しくなる。
それは私にとっても有意義な事だった。
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