生はまこと濁流に尽きる

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  知り合いに なっただけじゃなく、 千佳以外には 言えないようなことまで してしまったけれど。 あれから桃さまの低い声、 やたらなまめかしい手つきが 頭や体にちらついて、 腹が立つ。 スポーツや ワンナイトラブなんて ドライに片付けられるような ことじゃなかった。 これだから、 自分の中の女は嫌いなんだ。 女の欲望には 際限がない。 せっかく誰かを 好きになったって、 その人が自分の思い通りに なってくれなければ あっさり切り捨てることを 選べるような性だもの。 私は、 自分が望んだぶんだけ 叶えてもらえるような 価値のある人間じゃないし。 すっかり失われつつある 若さの価値が わかったころには、 もう取り返しがつかない。 .
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