生はまこと濁流に尽きる

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  一緒にいると、 この人以上に 理解してくれる存在なんて ないと思う。 わりと真剣に。 けれどどうしてか、 男と一緒にいるときの あの完全無欠感には 勝てない。 男性をアクセサリーだとは 思わないけれど、 番う相手がいることの 世間的な強さったらない。 男女同権だ平等だなんだと 言いながら、 女には男がついてないと 一人前とは 見なされないんだ。 女とすら 扱ってもらえないことさえ。 考えてると 目の前がクラクラしてくる。 千佳の体を支えながら、 私のほうが 支えられているのかも 知れなかった。 女同士って、 そういう不思議なところがある。 「……でもさ、 杏、気をつけなよ」 「え?」 .
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