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「……ねえ。暇なんだけど」
外は雪。
暖かい部屋の中で本を読んでいたお嬢様は、
心底飽き飽きという顔で執事の私を見た。
「読書をお続けになってはいかがですか?」
「もう厭きた。
あんたのお勧めだっていうから読んでみたけど、
ちっとも面白くないんだもん」
「……さようで」
「ひーまー。ほんっと、暇」
「お勉強でもされたらいかがですか?」
「……ねえ。キス、してみない?」
「は?」
「なに?お嬢様とはキスできない?」
挑発的な視線が私に送られる。
「ごじょうだ」
続くはずだった言葉はお嬢様の唇に消された。
……ったく。どうなっても知らねーぞ。
手をお嬢様の髪の中に差し込む。
少し抵抗されたが、知ったこっちゃない。
「これに懲りたら、もう挑発なさらないでください」
長い口づけが終わりニヤリと笑ってみせると、
あんなに煩かったお嬢様は、真っ赤になって静かになった。
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