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静かな部屋にパラパラと本を捲る音だけが響く。 私は部屋に聞こえる外の楽しそうな皆の声を聞きながら今朝の母の言葉を思い出していた。 …何よ。母親ぶっちゃってさ。 いつもほったらかしのくせに。 パタンと栞を挟んだ本を閉じて外の皆の声を聞く。 いいな。皆、楽しそう。 どうして私はこんなに病弱なんだろう。 ジワッと無意識に出てきた涙を私は慌てて着物で拭った。 べ、別に寂しくなんかないもん。 だって…もうすぐしたらきっと。 「あっ」
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