一章 出会いは運命を変えた

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 爆音が響く。瓦礫や建物の破片が飛び散る。小さいものから大きい物まで。避けられるものは避け、破壊できるものは剣で破壊する。距離を取りながら戦っても距離を詰められる。遠距離攻撃などしようにも構えている間に間合いに入っている。  下がるばかりではこちらがやられるだけ。放たれるエネルギー弾や衝撃波を避けながら相手に向かって走る。相手も同じように走る。お互いがお互いの間合いに入った瞬間、ほぼ同時に互いを切り裂いた。その時に何とも言えない激痛が体を襲う。  この結果、実を言うと何度も見ている。夢だ。決まって同じ誰かとよくわからない場所でお互いに殺しあっている。それで決まって自分が死ぬかお互いに死ぬ。そして目が冷める。今日に至っては 「おっはよー!」 「ぐはぁっ?!」  自分の妹にフライングダイビングされ起こされるとは誰も思っていないだろう。 「ねぇねぇ、起きてよ~!」 「わかったわかった起きるから俺に上に乗らないでくれ」  ダイビングの次は馬乗りでそのまま肩をユッサユッサされる。目覚めが悪いと言ったらありゃしない。だが自分で起きなければ基本こうやって起こされる。これが自分の朝のやり取りだ。  音無 春輝(おとなし はるき)。これが彼の名前だ。銀色の混じった薄い空色の髪に海のような青い瞳。これが特徴だ。あとは特にこれといった特徴はなし。
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