お笑いの道へ

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するとマネージャーらしき人が「ネタはあるの?」と聞いてきました。 「ありますっ」 「じゃあ、やってみて」 「はい!」 姉が勢いよく立ち上がりました。 『はい』!? 私も立ち上がったものの、当然どうしていいかなんて分かりません。 姉がかまわず喋りだしました。 確かディズニーランドをちゃかしたネタだったと思います。 「なんで好き好んでネズミ見に行くのかな?」 「いや、ネズミっていうかミッキーはアイドルですから」 「ネズミ見て『キャア!イヤァ!カワイイ!』って、だったらウチのネコ貸そうか、いっくらでも捕まえてくる…」 「やめなさいっ」 「夜な夜なナマミッキーとご対面」 「ナマって言うな!」 「朝から寝床に『オッハヨ!リアルミッキーだよ!』」 「目覚めたとたん、気絶するわっ」 つまらなくて、スミマセン…。 なんせ、漫才というより、いつもの会話を勢いつけてしゃべっただけで… 「ダメダメ」 「その程度じゃ…」 師匠たちが背をむけましたが、マネージャーだけは言いました。 「その程度でいい。女の子だから」 数日後、呼び出された私たちは、正式に弟子入りを許可されました。 感情を表に出さない姉が、私に飛びつき泣き始めたものですから、つられて私まで泣いてしまいました。
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