高校2年 4月6日

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みんなは誰かとお喋りしながら歩く廊下。 そんな場所に似合わない私。 そんな時いつも周りを観察して、全て見えてる気になりながら考える。 何のために彼女たちは 群れているのだろう そんなことしたって 本当の安心は手に入らないのに 男の話をして 少女マンガの話をして くだらない そうは思いながらも、私も輪に入って誰かと喋りたいなんて「くだらない」欲を持ってることに、とっくの昔に気付いてる。 そんな自分のゴミを漁るカラスのような 執着心が汚らわしい。 だからこの箱と箱の集合体である学校から跡形もなく消えてしまいたい。 そんなことを考えているうちに担任発表が始まった。 どうやら私の担任は今年赴任された女性の先生らしい。 顔はよく見えなかったけど…発表が終わり、箱へ戻り板書を確認して、座る。 しかし、私は箱に居る時間を少しでも短くするためにトイレへ行こうと立ち上がった。 廊下を歩いているとふいに肩を誰かに掴まれ、懐かしい感覚がした。 「茉子…」 力は強いのに自信なさ気の鳥のような声。 「彩音…」 喋ったのはいつぶりだろう。 彼女は昔の友情でなく今の保身を選んだ事を私は忘れていない。 所詮は醜い嫉妬かもしれないけど 彩音の事を憎んでる。 誰がどう見ても私が悪いのに… 「同じクラスだね… 茉子。やり直そう。 今日からもう一度友達として。」 今度はあの頃みたいな優しい目で優しく手を握ってくれた。 それだけで頷きたくなった。 否定すべきなのに、否定できなかった。 あの「くだらない」欲のせいで。 「茉子。行こう。」 繋いだ手を彩音は離さなかった。 あの頃わたしが恋してしまったぬくもりがこの手の中に再びある。 そう。 私は中学時代の彩音に恋してた。 でも今は友達その一線を絶対に越えない。 そしてもう好きなんかじゃない。 あたしの中の彩音に対する感情は懺悔しかないんだ。
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