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布団の柔らかさがいつもと違い、自室ではなく客間で寝たことを思い出す。すでに部屋には暖房が入れられていて暖かい。しかしどちらかというと暑いし、重苦しい。
「…っ。ガブちゃん!なんで一緒に寝てんのっ。」
「…おはようございます。…ボクがノエルのプレゼントです。」
溶けるような半分眠った顔のガブリエルに凛はぎゅっと抱きしめられる。「うーわー。」喚きながら抵抗するのだが、半眠りの細い体のどこにそんな力があるのか腕は解けない。
「何もしてませんよー。朝、目が覚めて、凛の寝顔が可愛くって眺めてたらニドネ(二度寝)しちゃいました。」
耳に熱を感じる。綺麗なのは凛が見ていないガブリエルの寝顔の方だったのだろうと、至近に迫る天使の彫刻のような顔を見て思う。
「あんまり可愛いんで、いっぱいちゅーしちゃいました。」
「な、に、が、何もしてないだ!は、な、せっ!」
布団の中で揉み合うが、ガブリエルはふんふんと嬉しそうにますます体を擦り寄せてくる。
「ボク、凛のこと好きになっちゃいました。普段ヤンチャでチャラくて、実はしっかり者のケナゲ(健気)受けって、ギャップ萌えのオードー(王道)じゃないですかっ?」
「チャラいって言うな!」
一応反論しながらも、日本語らしい言葉が理解できない…。
頭が空白になった隙をついて、ちゅっと唇が寄せられる。
「今日がノエル本番ですから。」
「こーらー。調子乗るなー。」
「ボク、日本に来てよかったなー。キモノの帯解くのって、やっぱ男のロマンですよねっ!」
がっちりと腰を抱かれ、帯に手がかけられるのを、凛は両手で阻止する。熱い息が首元にまとわりつく。飛び起きて逃げてしまえばいい。それでも拒む手に全力を込められないのは、この堕天使がやたら美しく、動きが手馴れていて淫らだからだ。
持ち前の適当な性格で流されそうになるのを理性が必死に止め、気持ちがせめぎあう。
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