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天使の名前を持つガブリエル。見た目は愛らしい。深いブルーグレーの瞳、ヘーゼルナッツ色の柔らかな髪、透き通るようなきめの細かい白い肌、ふわりと微笑みを湛える濡れたような唇。
「ボクを家にツレコムなんて、凛、いいコンジョウ(根性)してますね。」
代々続く書家の名家である凛のうちは立派な日本家屋で古き良き和の情緒に溢れている。「サムライ!忍者!禅!」と、いかにも外国人が知っていそうな単語を連発して大喜びだったガブリエルは、凛の部屋の扉を閉めてすぐに耳元で囁いた。やけに色めいた耳に絡むような静かな声で。
「ガブちゃん、ひとりで客間で寝てね!」
凛はぞくりとしたものを背中に感じ、きっぱりとした声で言い放つ。
「冗談ですよー。凛はボクのタイプじゃないから、ネコミ襲ったりしないので安心してください。」
いつもの調子に戻ったガブリエルは、満面の笑みで凛の肩をぽんぽんと叩く。
「寝込み…いろんな日本語知ってるよね、ガブちゃんって。」
「ネコミ襲うのは定番でしょ?」
「どこの定番だよ!」
日本のドラマや漫画で日本語を勉強したというガブリエルはとても上手に言葉を扱う。しかしそのボキャブラリーにいささか偏りがあるのは否めない。
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