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「あの顔は絶対、ショジョ(処女)ですよ。ぎゃーー、今日ヤられちゃうんだ!美人のショジョという世にも尊いモノが失われちゃうんだ!ボクが奪いたかった!」
「本気でそれ以上喋んな!本当に殴る。」
この二年間、憧れにも近い思いを抱いていた相手を下品な言葉で汚されたくはなかった。そして少しでもそんなことを想像してしまえば、年明けに顔を合わせづらくなるのは確実だった。
「本当にもう、凛はボクの邪魔してくれちゃって。今日はカクゴ(覚悟)してくださいね。」
ペロリと上唇を舐めてガブリエルが凛の顔を深く覗くように見つめてくる。
「ガブちゃん、やっぱ今日は寮に帰って。」
「だから冗談ですってー。聖なる夜にそんなヤラシイことボクはしません。それに凛に興味があったら今まで散々一緒にいるんだからとっくに襲ってますってー。ボクだって誰でもいいわけじゃないんで。」
訳のわからないフォローを入れる。
薫目当てに生徒会室に入り浸っているガブリエルとはクラスも同じで、凛はすっかり懐かれてしまっていた、いや、取り憑かれてしまっていた。いつも一緒のふたりは見た目はアイドルユニットのようで、実情は漫才コンビのようだ。気が合うとはきっとこういうもので、べったりと付き纏われても嫌な気はしていない。
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