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夏休みになり、ヨウスケが家にいることも増えた。
ホノカが家に夕飯を食べに来る事もあるが、そんな時もミユキとばかりでヨウスケとはほとんど話さなかった。
「ごちそうさま」
さっさとヨウスケはテーブルのある部屋を出て隣りの部屋に閉じこもった。
残されたホノカとミユキの話し声が壁越しに微かに聞こえていた。
迷いを振り払うように鉛筆を持ち、ヨウスケは問題集を解き始める。
夏休み、学校ではなく市の図書館に場所を変えようと提案したのはリオで、ヨウスケは一緒にいられるなら異論もなかった。
何より気になるのは八月半ばに控えたリオの誕生日で、もちろんヨウスケはプレゼントを渡したかったし、リオの喜ぶ顔が見たいと思った。
ホノカにプレゼントを渡したことはあっただろうか。
廊下の方から二人の話し声がする。
多分、洗い物をしているのだろう。
「いけない。今は勉強する時間だ!」
邪念を振り払うように頭を揺すり、ヨウスケは問題を頭から読み直した。
もう雑音は気にならなかった。それから一時間ほど、ヨウスケはただ鉛筆を走られた。
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