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ヨウスケが静かになった廊下に出た時、ホノカの姿もミユキの姿もなかった。
少しして風呂場から物音がして、誰かが入浴中なのだと思った。
一応、テーブルのある部屋を覗いた。
テレビも消えていて、人の姿はなかった。
「帰ったんだ!」
ホッとしながらも、ホノカにいて欲しくもあった。
様子を見に来たものの、これからどうしたいと言う気持ちもない。
思いつきで、トイレにでもいくか冷蔵庫から冷えた麦茶でも飲むか考えた。
「ヨウスケ!」
麦茶を飲み干したコップを流しに置いていると、風呂場からミユキがバスタオルを巻いて現れた。
「汗を流したら? 空いたわよ」
少しバスタオルが小さいのか、胸の辺りまで全部隠そうとするから、逆にミニスカートを履いているみたいに太ももが大胆に露わになっていた。
「ホノカちゃん、好きな人が出来たんだって!」
「そんなことをママに話したの?」
巻き方が気に入らないのか、ミユキはバスタオルを解いた。
そして胸の上半分を露わにして巻き直した。
釣り鐘形の胸がすぐにまたバスタオルに押さえ込まれた。
「ギターを弾く子なんだってね。ホノカちゃん、嬉しそうに話してくれたわ!」
「良いんじゃないの? ホノカはホノカだし!」
ヨウスケは下着を取りにタンスのある部屋に行った。
「バスタオル、あとで置いておいて」
そう言い残りて、ヨウスケはミユキの返事も聞かずに風呂場に入った。
ホノカが葉山を好きになった。
その言葉を、ずっと頭の中で繰り返し呟いていた。
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