Iがある場所で(3)

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ヨウスケが静かになった廊下に出た時、ホノカの姿もミユキの姿もなかった。 少しして風呂場から物音がして、誰かが入浴中なのだと思った。 一応、テーブルのある部屋を覗いた。 テレビも消えていて、人の姿はなかった。 「帰ったんだ!」 ホッとしながらも、ホノカにいて欲しくもあった。 様子を見に来たものの、これからどうしたいと言う気持ちもない。 思いつきで、トイレにでもいくか冷蔵庫から冷えた麦茶でも飲むか考えた。 「ヨウスケ!」 麦茶を飲み干したコップを流しに置いていると、風呂場からミユキがバスタオルを巻いて現れた。 「汗を流したら? 空いたわよ」 少しバスタオルが小さいのか、胸の辺りまで全部隠そうとするから、逆にミニスカートを履いているみたいに太ももが大胆に露わになっていた。 「ホノカちゃん、好きな人が出来たんだって!」 「そんなことをママに話したの?」 巻き方が気に入らないのか、ミユキはバスタオルを解いた。 そして胸の上半分を露わにして巻き直した。 釣り鐘形の胸がすぐにまたバスタオルに押さえ込まれた。 「ギターを弾く子なんだってね。ホノカちゃん、嬉しそうに話してくれたわ!」 「良いんじゃないの? ホノカはホノカだし!」 ヨウスケは下着を取りにタンスのある部屋に行った。 「バスタオル、あとで置いておいて」 そう言い残りて、ヨウスケはミユキの返事も聞かずに風呂場に入った。 ホノカが葉山を好きになった。 その言葉を、ずっと頭の中で繰り返し呟いていた。
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