Iがある場所で(3)

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店に入り、ヨウスケはリオの隣りに腰掛けた。 前にはホノカがいて、隣りに葉山がいる。 話題は葉山が振り、ホノカとリオが答えていた。 もちろんリオも楽器を弾いていたことを質問し、葉山がギターを始めたきっかけから話していた。 ヨウスケはなんだか取り残された気分のままで、三人の会話に相づちを打っていた。 誰もヨウスケの方を向かない。 ホノカだけでなく、リオまでも葉山に取られた気がした。 「何にする?」 メニューを開きホノカが言う。 「軽く食べようかな?」 葉山がピザを頼むと言った。 「ポテトも頼もうよ!」 リオが提案する。 テキパキと三人は注文を決めた。 「オレ、和風ハンバーグ」 ヨウスケだけがみんなと路線が違っていた。 注文したピザを葉山がみんなに勧める。 リオも手を伸ばして、「美味しいね」と言った。 ホノカとも自然に話している。 ヨウスケだけがハンバーグを一人で食べていた。 「ホノカは卒業したらどうするの?」 何度か飲み物を補充し、お腹もそれなりに満たされていた。 「看護学校に進みたいと思っている。リオは?」 「私は北高。それから大学にも行きたい」 「へぇ、佐伯さんもそうなの?」 するとリオが、「名前でいいよ!」と葉山に微笑んだ。 「じゃ、リオちゃんね!」 葉山がリオの頼んだポテトを摘む。 「ホノカも食べて!」 リオとホノカも打ち解けていた。
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