通常版

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【結合比】  まず、カルシウムイオンについてのみ考える。 結晶あるいはバルクのクエン酸カルシウムの結合比はiCa:Citrate 3- = 3:2。すなわちカルシウムイオン3ヶに対してクエン酸イオン2ヶが結合している。仮に水溶液中でも、この割合で両者が結合していると考えれば、カーボスター中にはクエン酸イオンが0.67mmol/L存在するのだから0.67×(3/23)=1.0 mmol/Lのカルシウムイオンがクエン酸イオンと結合している計算になる。よって、クエン酸イオンと結合していない遊離のカルシウムイオン濃度は1.5-1.0 = 0.5 mmol/Lとなり、実験結果1.18~1.20 mmol/Lと乖離する。  次にマグネシウムイオンも考えに入れると、こちらもカルシウムイオン同様、結晶あるいはバルクのクエン酸マグネシウムの結合比はiCa:Citrate 3- = 3:2である。話がややこしくなるので、ひとまずカルシウムイオンとマグネシウムイオンを一緒にして考えるとiCa+iMg = 2 mmol/L。このうち0.67×(3/2)=1.0 mmol/Lの金属イオンが消費されるのだから、残りの(=遊離の)金属イオン濃度は1.0 mmol/L。その中でカルシウムイオンが占める割合は1.0×(1.5/2.0)=0.75 mmol/L。よって、先程よりは実験結果に近づいたが、まだ遠い。  すなわち、ここでの結論は、水溶液中でカルシウムイオン(及びマグネシウムイオン)はクエン酸イオンと3:2の割合では結合していない、となる。
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