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◇◆◇◆◇
「やくそく……どうしてまもってくれないの……サトちゃん」
何……誰。
ぎりり、と強い力で足首を掴まれ小さく悲鳴を上げた。
振り払ってもその力は弱まりはせず、締め上げられた箇所から引きちぎられてしまうんじゃないかと思うくらいに痛みと恐怖が襲ってきた。
だけど足を見下ろしても、そこには足を掴む手はない。
誰も居ないそこに、くっきりと小さな手の痕だけが刻まれていき湧き上がるどうしようもない恐ろしさにパニックになった。
「や、いやぁぁっ!!」
「サト!?」
ぐっと肩を掴まれ、混乱する頭で全身を動かしてその力に抗った。
だけどぐっと抱き込まれ、恐怖で息すら出来なくなる。
「サト……大丈夫だよサト……」
「コ、ト……?」
「うん。夢だよ。大丈夫、もう怖くないから」
ひゅ、ひゅ、と浅い息が漏れてまともに喋れない。
労わるように背中を撫でられ少しずつ気持ちが落ち着いていき、ひとつの疑問が生まれた。
……教室に居たはずなのに、どうして保健室に居るんだろう。
コトの胸を押し返し、そっと頭を抱えた。
額に触れる指先があの夢を見た時と同じように、ひどく冷たい。
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