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「サト、急に倒れたんだよ」
心配そうに眉を下げたコトが、そっと頬を撫でてきた。
その手は私のそれよりもずっと冷たくて、ぶるりと震えたと同時に、鋭い痛みが足に走った。
「……サト?」
「いた、……何、足、痛い」
保健室独特の固いベッドに寝かされた私の身体。
下半身はシーツに覆われどうなっているかはわからない。だけど、強い力で引っ張られている。それだけは、確かに感じる。
震える指先で恐る恐るシーツを剥ぎ取り、痛みを訴えかける足を見つめた。
――そこには、細くしなやかな手があった。
ぎりぎりと引きちぎらんばかりの力で私の足首を掴む、小さな手。
「き、きゃあああ!!!」
それには、手首から先が無い。
ただ、手が、あるだけ。
ぐらぐらと脳内が激しく揺れ、何も考える事が出来ない。
身を捩ってその手から逃げようと後退した途端、背中に何かがぶつかった。
また、手首から先だけの手。
無数にはびこるそれは背中を伝い、手や足、胸元まで這い上がってきていた。
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