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「お嬢さま、午餐会の準備が整いましたので食堂の方にお移り願います」
「やれやれね。午餐会なんて、面倒だわ」
「まあそうおっしゃらず。お嬢さまのお誕生日会を兼ねた席なのですから」
「だから面倒と言ってるのよ。ところで時也」
「はい」
「あなたからの誕生日プレゼントがこの栞1枚。こんなユニークなことになった理由を教えてくれない?」
「理由、ですか。……道中の枝を折って帰りの標(しるべ)とすることを枝折りと言い、栞とはその言葉が転じたもの。読書家であるお嬢さまがお読みの本はいずれ、もしかしたら将来の標のひとつとなるものかもしれない。ならばその標の標となるものをと、それが栞をお贈りした理由でございます」
「……時也」
「はい」
「来年のプレゼントだけれど、必ずこれを越えるものを贈って寄こしなさい。言っておくけどそのハードルは高いわよ」
「かしこまりました。ではお嬢さま、食堂へ」
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