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「あ、そういえば」と彼女は何かを思い出したように教室の扉の前で振り返る。
「ねぇ先生。先生はペット飼っている?」
「ペット?いいや飼ってないよ」
「ずっと」
「ああ、小学校の時は飼っていたけど。それからは飼っていない」
ふーん、と彼女は言うと何かを呟いた。
「え?何?」
「なんでもなーい!」
嘘だ。ちゃんと僕の耳には届いていた。
懐かしい記憶を思い出す。
「何で死んじゃったのかな。寂しかったから死んじゃったのかな」
小学生の時の記憶だ。寂しいと死んでしまう、という訳のわからない噂を信じていたころの可愛い記憶だ。
その時はもう寂しくさせない、とともに、そんな自信はないからもうペットなんか飼わないと決めたのだ。庭に埋めながら、約束をしたのだ。
「じゃあ、先生。また明日」
「ああ、明日な」
彼女が歩いている廊下から、でたらめな歌が聞こえてくる。
『寂しいくらいじゃ死なないよー』
ホントかよ、とそのでたらめな歌に突っ込みをいれて、約束、守れるかな。守りたいな、と僕は静かに心に決めた。
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