片桐 春樹

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一瞬一瞬がスローモーションのように見えた。 彼は振り向き、少し口を開いて、 「…奈津。」 昔の面影を残す顔を、ふわっと緩めた。 ああ、この顔が好きだった。この顔が見たくて、よく用もなく君の名を呼んでいたっけ。 「ハル…元気にしてた?」 「うん、まぁ。奈津も元気そうだね。ていうか、どうして奈津がここに?」 早速本題に入れそうで良かった。懐かしさの波に呑まれる前に。 「昔作ったタイムカプセル、覚えてる?」 ハルは一瞬きょとんとして、すぐに納得したような顔になった。 「あったね、そういえば。」 さすがハル。隼人くんと並んで頭が良かっただけある。
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