名前のない感情

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「俺、赤須賀さんと付き合うことになったから!」 嬉しそうに自分の首に抱きついて、耳元で報告してくる兄は、 無自覚なのは分かっていても、 酷く、残酷で。 「……そう……。」 「あんれー?優斗喜んでくれねーの?」 腕を回したまま、晴斗は優斗の顔を間近で見つめた。 自分と同じでも、自分より男らしい顔。 その顔に見つめられて、クラクラしてしまう自分を殴りたい。 「そ……そりゃあね。兄さんが先に彼女できるなんて、許せないし。」 口に乗せた皮肉が、そのまま顔に出た。 未だに、優斗に抱きつく腕は、彼を拘束したまま。 兄弟のスキンシップのつもりなのだろう。 「ハハッ、確かに。そりゃあ面白くねーよな。」 陽気に笑う兄。 「……兄さん、マジで告白したんだ。」 「あぁ。でもオッケーもらえた。もうめっちゃ嬉しいわ。幸せ。」 「……そ。ねぇ、今日はハンバーグにしよっか。」 「マジ?やったー!」 晴斗はようやく、優斗から体から話した。
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