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(昔から兄さん、ゲーム得意だよなぁ)
優斗は小学生時代を思い出す。
ポケモンを3日で殿堂入りする晴斗。
優斗が1年でようやく殿堂入りした頃には、晴斗はとっくにポケモン図鑑を完成させていた。
同じ遺伝子から産まれたはずなのに、どうしてこうもスペックがかけ離れているのだろうか。
「しょげた顔すんなよ優斗。お前のしょげ顔見てると俺までしょげるわ。」
「しょげ顔って何。ていうか同じ顔だし。」
自分の肩を抱いてくる晴斗に、優斗の頭には(兄さんって本当馬鹿。成績不安。お先真っ暗)と、ひたすら悲しい言葉が浮かんだ。
「あっ……。」
歩いていた2人だったが、優斗がある1点を見ながら立ち止まる。
「ん?」
晴斗はその視線を追った。
そこには、UFOキャッチャーがあった。
中には、大きな猫のぬいぐるみが。
「……。」
「……。」
「……。」
「……。」
「欲しくて悪いかよ!??」
真っ赤になって突っかかってくる優斗に、晴斗は思わず吹き出した。
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