カツアゲ

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2人はうんうんと唸るが、同時に顔を上げた。 「「アジの開き!」」 ぴったりハモったその声に、2人して大爆笑した。 「さっすが双子だな俺達。」 「だね。」 「幽体離脱しちゃう?」 「ざたっちしねーよ!?」 たわいもない会話をする晴斗と優斗は、それから魚コーナーへと移動するのだった。 。。。。。 アパートの一室。 風呂やキッチンはついているので、生活はなんら不自由していない。 「優斗、風呂空いたぞ。」 Tシャツにスウェットを着た晴斗が、タオルを頭に乗せて部屋に着た。 「後で入る。」 優斗は簡易テーブルで、参考書を広げている。 「お前まだ勉強してんの?」 ひょこっと晴斗が覗き込む。 「うん。」 参考書から目を離さないまま、優斗は返す。 「……兄さん、笑わない?」 「唐突にどうした。」 「……僕、教師になりたい。」 「教師?」 「うん。」 シャーペンを止め、兄に微笑む弟。 「僕、絶対教師になるよ。」
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