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廊下から差し込む夕日が、無性にうざったい。
「うん、了解。」
寂しい。
とは言わずに。
(ああ、自分、ブラコン)
優斗は自嘲する。
もう中学3年、来年は高校生なのに。
「ごめんな?6時前には帰るわ。
ていうか優斗が代わりに補習出てくれたら嬉しいんだけど……。」
「同じ顔をそういうことに利用しないでくんない。」
「けーっ、昔は同じ顔利用していたずらばっかしてたじゃねーか。」
「昔は昔、今は今。」
するりと晴斗の横を通ろうとする優斗。
だが、その時。
そっ、と、
自分の手首が、晴斗に囚われた。
「……、兄さん?」
掴まれた手首に、僅かながら熱を感じる。
なんだ、この熱は。
自分のか、兄のか。
「優斗、帰り道気をつけろよ?」
真剣な表情で、まっすぐ自分を見てくる兄。
なんだ、そのことね。
優斗は内心拍子抜けした。
「大丈夫大丈夫、いざ絡まれたら『俺は香山晴斗だ!勝負ならいつでも承る!』って言うから。」
「全然大丈夫じゃねぇよ!?」
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