204人が本棚に入れています
本棚に追加
文句を言う兄を適当にあしらい、優斗はリュックを背負った。
下駄箱に移動し、上履きを脱ぐ。
『香山晴斗』と書かれたテープが貼ってあるスペース。の下にあるスペースには、『香山優斗』と書かれたテープが取れかけてあった。
(そういえば、靴もリュックもお揃いなんだよなぁ)
優斗は下駄箱から、晴斗と同じ見た目のスニーカーを抜き出した。
サイズも同じなため、履き間違えても絶対気づかない。
晴斗の靴は、かかとを踏んでいるからか、その部分が凹んでいた。
(今日は兄さんの好きなハンバーグにしようかな。
スライスチーズを乗せて……あと粉ふきいもも)
そんなことを考えながら歩道を歩いていると、
「どういうことだよ!あん?!」
と、通った路地裏から怒鳴り声が聞こえてきた。
(な、なんだ?)
好奇心と恐怖心が半々であった優斗は、路地裏をそっと覗いた。
見えたのは、金髪や茶髪の後ろ姿と、地味な男子中学生だった。
「5万持ってこいって言ったじゃねーか!殺すぞてめぇ!」
「す、すみません!」
最初のコメントを投稿しよう!