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不良の威勢のいい声と、気弱な声。
カツアゲだ。
すぐに優斗はわかった。
「何してんだよ。」
考えるより体が動いた。
というか口が動いた。
先のことなど考えもしなかったし、自分がどうなるもこうなるもなかった。
「あ?」
金髪の、ガラの悪そうな顔の男が振り返る。
高校生。身長は高く、ガタイもいい。
一瞬悪寒が走ったが、声もかけずに素通りして、後から後悔するより何百倍もマシだった。
優斗は拳を握り、駆け出した。
金髪の高校生の腹に、全力で拳をぶち当てる。
その隙に、カツアゲをされていた中学生は、鞄を抱きしめ逃げ出した。
「おい、てめえ……。」
金髪のコメカミが、どんどん膨れ上がっていく。
「ヒーロー気取りかモヤシが!!」
金髪は重いパンチを、優斗の腹に食い込ませた。
優斗は目を開き、鈍い声を漏らしながらうずくまった。
「かはっ、うっ。」
咳が止まらず、口から血がぼたぼたと垂れる。
「ヒャハハ!ひょろっちいくせに馬鹿なんじゃねぇのコイツ!」
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