晴斗と優斗

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某年7月。 某県の某所にて、2人の子供が産まれた。 0時31分、香山晴斗(かやまはると)が誕生。 その数分後、香山優斗(かやまゆうと)が誕生した。 2人は双子であり、兄の晴斗は弟のことを「優斗」と、弟の優斗は兄を「兄ちゃん」と呼んだ。 両親は双子の息子達を可愛がり、お揃いの服を着せ、同じ髪型にした。 晴斗と優斗はそれをいいことに、よくいたずらしては周囲を困らせた。 例えば、夕飯のおかずをつまみぐいした時は、片方の口に汚れをつけ、母にこう言うのだ。 「「どっちがつまみぐいしたでしょーか?」」 と。 母親が呆れていると、2人はハイタッチをして喜ぶのだった。 兄の晴斗は明るくてお調子者。 弟の優斗は優しくて生真面目。 双子でも、性格は正反対に育った。 晴斗と優斗は、四六時中一緒に遊んでいた。 特に2人が遊んだ場所は、近所にあるひなげし畑だった。 森の外れにある、赤い花が咲いた場所だ。 そこは2人の秘密の場所だった。
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