晴斗と優斗

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優斗は兄の晴斗が大好きだった。 かっこよくて、自分から率先して行動する兄が。 ひなげし畑も見つけたのは晴斗だった。 「兄ちゃん怖いよぉー!もう帰りたいよぉー!」 「大丈夫だって!怖くない怖くない!」 ……優斗は半ば強制的に、晴斗に連れてこられた。 ひなげし畑に。 だが、ひなげし畑にたどり着いた時、優斗はぱあっと顔を綻ばせ、 「わぁー!すげーすげー!!兄ちゃんこんなとこ知ってたの!?」 と、はしゃいだ。 「へへへ!俺すげーだろ?」 「うん!すげーすげー!」 「お前本当に俺のこと大好きだな!」 「うん!大好き!だってかっこいいんだもん!!」 「ふぅ~~!!もっと言ってもっと!」 「宇宙一かっこいーーー!!」 「わーーーい!!」 まるで優斗はしっぽを振る犬のように晴斗を尊敬し、晴斗は崇められ鼻高々になった。 そして物語は、2人の両親が交通事故で亡くなって、さらに1年経った中学3年生から始まる。 不真面目のまま育った香山晴斗と、 生真面目のまま育った香山優斗の、 見えぬ互いの気持ちを探す……物語。
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