一歩

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何度も何度も朋ちゃんに謝り、 これからは、なんでも言ってくれと。 叔父さんだから今までできなかったことをさせてくれと。 今まで見たこともない社長の姿に、つい涙が出てしまう。 この一年近く色々あったからだろうが、涙もろくなってしまう。 「繁ちゃんが泣いてどうするのよ。 それに繁ちゃんは良いの?」 「なにが? 朋ちゃんの家族が見つかってよかったと思ってるよ?」 「大山くん。 いや、ここでは繁治君と呼ばせてもらっても良いかな?」 「構いません」 「では、私の事は叔父さんと呼んでくれ。 いつ行くかね? 今からでも......」 「「だめです!」」 「えっと、勤務中なので」 「次の土曜の休みはどうでしょうか?」 「敬語もやめてくれ。 家族なんだから。 土曜ね......午後からなら大丈夫なんだが」 「では午後に。 どちらへいけば良いですか?」 「私が迎えに行こう。 場所だけ教えてくれないかね」 そういわれマンションの場所を教える。 しばらくの間は友人たちにも親戚であるとの事は内緒にすることになった。
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