一歩

35/50
前へ
/241ページ
次へ
土曜まで二人でいつも通り生活はしたが、 あの預金をどうするかで話し合った結果、いずれ一戸建てを買うときに使ってしまおうと決めた。 土曜のお昼、まだそんなにお腹は出てはいないが、 ゆったり目の服を着て準備をしている朋ちゃんに、 ごめんと謝る。 「俺勝手に決めちゃって」 「いいの。 それに、時期社長さんだったら忙しくなるね」 「それなんだけど、いいのかな?」 「いいんじゃない?」 「そんな簡単に......」 「私もう割りきったもん。 だから繁ちゃんもお仕事って思えばいいかなって」 「俺逆玉みたいでさ」 「そう思って結婚した訳じゃないし、 後から知ったことだし」 「だよな。 俺たちは俺たちだよな」 「うん」 そのあと、運転手の人が迎えに来て見た車がまた立派だったので、 それにも驚く。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

322人が本棚に入れています
本棚に追加