一歩

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みんなに説明して帰宅してもらい、社長にもどのぐらい掛かるか分からないからと言ったが、頑として動かず、コーヒーを渡し分娩室のランプが消えるのを待つ。 看護婦さんの出入りがあるだけで立ったり座ったり...... 「朋子は......大丈夫なんだろうか......」 「大丈夫です」 「なぜ言いきれる?」 「たくさん辛い思いをしてきました。 俺以上に。 だから、幸せになる権利があるんです。 俺は朋ちゃんが笑ってる顔が一番好きなんです。 これからは子供も一緒に。 そう話してきたので、信じます」 「君は強いな。 私は女房が危篤の時でさえ間に合わなかった... もう、家族が......大事な人たちが傷つくのは見たくない」 「叔父さん。 朋ちゃんは強い人です。 きっと赤ちゃんも大丈夫です」 「そうだな。 それにしてもこんなに時間がかかるものなのか?」 「本では二日かかる人もいるとか、痛みもそれぞれだと書いてあったので。 帝王切開だと思っていたので、その本ばかり読んでたので、 あまり知識はないのですが」 「なんとか教室とかにもいってたんだろう?」
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