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スケッシーが野良犬のメスを発見、早く散歩の続きをと急かす。
「わんわ、わん」
仕方なく、藤元を置いて散歩を再開した。
「いつかきっと! 信者をたくさん集めてやる!!」
藤元の断末魔が轟いた。
島田はこのアパートの二階にいるが、私たちはいつも電話を使っている。
「夜鶴。奈々川さんってどこのお嬢様なんだ? B区のどこだ?」
島田が電話越しに言う。
「いや……知らない」
島田には奈々川さんが総理大臣の娘とは言わなかった。弥生もその様子だ。島田の気性ではB区と全面戦争をしてもおかしくはなかった。
「本人に聞いてー」
島田が猫なで声を発した。
「いや……本人も言いたくないそうだ」
「ふーん」
後ろの奈々川さんはスケッシーと遊んでいる。私の部屋に総理大臣の娘をB区の奴らから匿っているなんて、確かに言えない。
「ゲームの調子はどうだ?」
「まあまあかな?奈々川さんとやったら200点になった」
「お前……天才じゃない?」
「ははっ」
島田は何点なのだろう?
「俺なんてまだ100点にもいかないぜ。銃撃戦の時はお前の方が強いな。接近戦というか殴り合いは俺に任せろ」
島田がこれからの身に置きそうな作戦を言った。
「ああ」
今日の早朝のこともあるし、仕事は本当に命掛けになってきた。しかし、金のためには仕方がない。どちらも……金がなくなっても死ぬし、撃たれても死ぬし。これが私が望んだことなのだ。
「夜鶴……。銃の手入れはしっかりな」
島田が珍しく真剣な声をだした。
職場へとスヌーピーの絵のある愛車を駆る。夜風がこんな場所だが気持ちがいい。一日1万2千円の夜勤の仕事を止める訳にはいかないのが今の厳しい現状だ。
嵐の前の静けさなのか、広い駐車場には誰もいない。
受付のところまで、片手は腰のリボルバーに付けて歩いていると島田もやってきた。
島田はなんとベレッタをだしたまんまだ。
受付の女性に、
「おはようございまっス。田場さんは?」
いつもの気楽な口調である。
「はい、田場さんは奥の休憩所でミーティングだそうですよ」
「ああ。って、俺たちのことを話しているの?」
女性はペロっと舌をだして、
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