第1章 ゴミ捨て

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「本当にな。でも、やっぱり給料がいいから仕方のないことだよ。じゃ、よろしくね」 「御疲れ様でした」  私は電話を切ると、丁度テレビゲームのスコアが昨日よりも少し上がっているところだった。  しばらくして、ゲームの本体を片づけると、友人の鳥田へと電話した。 「おはようっス」  鳥田がハイテンションで電話に出た。 「なあ夜鶴。今日は何点だ」 「150点。今いいところなんだ。新記録樹立中さ」 「ふえー。俺なんて95点だぜ。よく取れるなー」  島田も同じゲームをやっている。島田との付き合いは2年前からだ。私がリストラになって、B区から家賃の安いA区に来た時に、島田が暴漢と揉め合って銃撃戦になった時に命を助けた。今では恩を感じてくれて一番の友人となっている。島田は生粋のA区という場所の住人だった。 あれから2年のバイト生活で、歳は私と同じく25歳。 「お前も今週の火曜は休みになったのか?」  私の目線は今やテレビから離れて、膝の上のスケッシーの頭だ。もう今日はこれ以上は得点を取らなくてもいいと判断した。  明日やればいい。 「へ? 火曜か? 俺は出勤だけど」 「そうか」 「なあ。その日に俺のゴミも捨ててくれないか?」  島田は私と同じアパートにいた。青緑荘。それが私たちのアパートの名だ。築10年で全体に緑色がかった建物だ。二階建てで一階に私。二階に島田がいる。その他の住人は日勤なのだろう……あまり出会わないようだ。  一階が1Kで二階が2LDK.島田は結婚している。子供はいない。妻の名は弥生という。 「ああ。いいよ。丁度暇だし。近所にあるゲームセンターで、ハイスコアを目指していると思うよ」  島田は笑って、 「いいねー。俺は休日は弥生とゆっくり過ごしたいからな」  電話を切ると。ゲームを再開した。今度は160点まずまずの点数だ。夕方の18時だ。スケッシーの散歩をしなければ。  夜はいい。  9月の半ばの夜は涼しい。   日中は27度くらいはあるのだが、夜ではすごしやすい気温になる。  途中、スケッシーは野良犬のメスの犬とすれ違うとわんわんと吠え尻尾を振る。  散歩といっても、近所を回るだけ。同じところを3回とぐるぐる。今日はメスの犬には出会わず。スケッシーはがっくりしていた。 「明日は休みか」
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