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パンッ!
静かな空間に乾いた銃声が響いた瞬間、悲鳴が上がった。
ここは、大通りに面した銀行の店内で、時間は午後三時を回った所だ。
僕に背を向けて、目の前には覆面の男が三人立ち、内、二人は銃を手にしている。
覆面の男は、僕が座っている待合い用の椅子から見て、右から順に、茶馬、白馬、大仏のマスクを被っている。
大型量販店のパーティーグッズで見かける、誰にでも手に入れられる品物だった。
どうせだったら、全員、馬で統一すればよかったのに。緊迫感の漂う現場で、僕はそんな事を考えていた。
「この中に金を詰めろっ!」
三人の中のリーダー格なのか、白馬の面をつけた男がそう叫んで、空のアタッシュケースを、カウンターの前に置いた。
「余計なことしたら、ぶっ殺すぞ!」
白馬は威嚇する。銀行員は両手を頭上に掲げたまま、恐る恐るアタッシュケースの前に出て来た。
男が本気なのは、そこにいる全員が解っていた。
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