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白髪の混じった中年男性の社員が、アタッシュケースにぎっちりと現ナマを詰め込み、白馬男に手渡した。
おそらく、一憶はあるだろう。
白馬男は、アタッシュケースの中身を、確認してから受け取ると、その男性の額に目掛けて銃弾を撃ち込んだ。
男性は目を見開いたまま、後ろに倒れ、机の上に置かれた書類が、バサバサと宙を舞った。
その瞬間が、切り取られたスローモーション映像に見え、映画みたいだなと僕は感心していた。
そのまま、強盗犯は銃を構え、警戒しながら入口に向かう。
僕は、偽の銃を手にした茶馬の男を見つめ、心の中でゆっくりとカウントする。
1、2、3____パチン!
3カウントの後に、指を鳴らす。
____それが、合図になる。
茶馬の男は手にした銃をだらりと足元に垂らし、こちらを振り返った。
(さぁ、ショータイムの始まりだ)
こちらに向かってくる茶馬の男に、僕は微笑み掛けた。
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