The 3 minutes show

4/22
前へ
/22ページ
次へ
白髪の混じった中年男性の社員が、アタッシュケースにぎっちりと現ナマを詰め込み、白馬男に手渡した。 おそらく、一憶はあるだろう。 白馬男は、アタッシュケースの中身を、確認してから受け取ると、その男性の額に目掛けて銃弾を撃ち込んだ。 男性は目を見開いたまま、後ろに倒れ、机の上に置かれた書類が、バサバサと宙を舞った。 その瞬間が、切り取られたスローモーション映像に見え、映画みたいだなと僕は感心していた。 そのまま、強盗犯は銃を構え、警戒しながら入口に向かう。 僕は、偽の銃を手にした茶馬の男を見つめ、心の中でゆっくりとカウントする。 1、2、3____パチン! 3カウントの後に、指を鳴らす。 ____それが、合図になる。 茶馬の男は手にした銃をだらりと足元に垂らし、こちらを振り返った。 (さぁ、ショータイムの始まりだ) こちらに向かってくる茶馬の男に、僕は微笑み掛けた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加