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「わー!サンタさんだ!!」
サンタクロースが突然ホール内に現れた事に気づいた子供達がわっと群がっていく。
その光景を見ていた弦は、小声で恵に訊ねた。
「あれ、中身は木場さんか?」
「そうですよ」
木場さんは神楽家の執事だ。
今日のクリスマス会でも裏方として働いていたはずだが、道理で先ほどから姿が見えなかったわけだ。
白い付けひげにサンタクロースの帽子と衣装。
胴体には詰め物でもしているのか、さもでっぷりとしたお腹であるかのように見せかけている。
仕上げに大きな白い袋を背負った木場サンタは、しっかり声音を作って笑った。
「フォッフォッフォッ、メリー・クリスマス!!」
「ノリノリだな・・・」
木場サンタに導かれるように子供達がホール内にあるピアノ周辺に向かっている事に気づいた恵は、弦の肩をポンと叩く。
「子供達が待ってますよ」
弦は苦笑いを浮かべる。
「正直子供は苦手だけど・・・しゃあない、いっちょやったるか」
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