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少女が静かに寝息を立てる部屋の一室。静粛の中に、スヤスヤと優しいリズムを刻むが……
スマートフォンからのお気に入り着うたが徐々に鳴り始め、「んっ」と、甘くも何処かで物寂しそうな声色となり、無意識に手を伸ばし、停止させた。
「……んん……」
眠気満々にベッドから起き上がり、窓際に移動すると、寝ぼけながらもカーテンを開けた。
心なしか、日の出が遅く感じ、少し肌寒く感じながらも、今日も晴れそうであるのを確認すると、ゆっくりとした足取りで、一階へと下りて行く。
いつも通り、寝癖で髪の毛が暴れているのを確認しつつ、洗面台で朝の身嗜みを整え、顔を洗う頃……
「おはよう~きーちゃん」
母親の優しい声が聞こえる。
「おはよ~……あれ、今日はお休なのに、もう起きてるの?」
本日は日曜日。学校も休みで、両親は普段だと、まだのんびりしていて起きない場合もあるのだが、本日は、出掛ける事を伝えていたからかな?
「今日はお父さんもゴルフあったから、早起きしていたのよ。ご飯食べて行くでしょう?」
「そっか。……食べて行く。じゃあ、ちょっと用意して来るね」
昨日、寝る前にそう言えば、話してた。ちょっと、寝ぼけ過ぎた自分に反省しつつ、再び部屋に戻る。
カレンダーを見れば、九月の最終日曜日には大きく赤丸が付いており、待ち合わせ時間の記載も確認出来た。
今日はみんなで買い出しを約束していた日である。そんな事を考えつつ「あっ」と思い出した様にスマホを見れば……来てる!
何が来ているかと言えば、ラインの新着メッセージだ。
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