季節の変化

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 しっかり目覚めた脳内で、その内容を見れば……やっぱり、誠吾からの挨拶である。 「ん~っと、おはようございます。っと」  ポチっと送信ボタンを押せば、速攻で既読になって返事が帰って来る。少し前までは、お互いガラケーを使っていたので、スマートフォンの操作は少しぎこちないものだと思っていたが、何故か誠吾からの返信は、異常に速い。  ……まぁ、気楽に連絡取れるのは嬉しいかな。  スマホデビューして、間も無く一ヶ月経ちそう。正直大して機能は使えてないが……このライン機能は、助かっている。  何せ、彼氏となった二堂誠吾(にどうせいご)と、実際距離があるお付き合いしているが、こんなに身近に感じれるが嬉しい思いなのだ。  丁度、このスマホになった一ヶ月前には、色々な事があった。  夏休みには、人生がガラリと変わる経験をしながらも、自分で歩みたい道を見つけ、大切な異性を見付けて両思いになり……  夏休みが終わる八月の登校では、命が関わる大事件を経験し、新しい友達が出来た。  ……うん、二ヶ月足らずで、何度も死にそうな目にあったかな。  これが率直な思い。何も、自分からそんな方角に向かってないのだが、結果的に、寿命が幾度減ったかわからない位に、凄い経験をさせられた。  勿論、それだけではないけどね。と、思える程に、得たものも実際ある。  普段、決して視えない陰の日常。妖怪と呼ばれる者が織りなす、負の世界に……立ち向かう人々や妖怪と呼ばれる者と知り合い、解り合えた。  何より、妖怪と闘いながら、日常を守る男性に恋をし……そして、想いが通じて両思いとなれた。  命削る思いをしながらも、確実に想い人との絆を深め、今があるのだから、世の中、不思議と思える。  そんな事を考えながら時計を気にすれば…… 「もうこんな時間か……早く着替えないと!」  そんなに思いに耽っていた訳ではないが、母親が朝食作ってくれている。食べる時間を考慮して出掛けるならば、おちおちしている訳にはいかず、慌ててクローゼットから洋服を選ぶと、慌てて着替え始めた。
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