季節の変化

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「……よし、これでいいかな?」  鏡の前でチェックする。白めのレースブラウスの上には、薄めのピンクのロングニットカーディガン、下はシンプルなデニム、そして、忘れずに菱形のペンダントを首にかけて完成である。  最近は、本当肌寒くも感じるので、秋物の服装にしないとならないが、この九月後半は、微妙に選ぶのに迷う。  な~んて、思いつつ、一階へと向かうと、用意された食事を食べる事にする。 「今日は誰とお出掛けするの?」 「ん? 今日は美希(みき)ちゃん、ユウちゃんと彩魅(あみ)ちゃんだよ」 「いつものメンバーね。それにしても、いつになったら彩魅ちゃんを連れて来るのかしら?」 「えっ? お母さん……彩魅ちゃんに興味あるの??」 「それはあるわよ~きーちゃんが積極的に名前出すお友達なんて珍しいし、美希ちゃんと遊香(ゆうか)ちゃんは、お家に連れて来てくれたじゃないの」  ニコニコしながら言うが、それは早くも彩魅と言う存在をこの目で確認したい意思の表れである。  どうにもうちの母親は、友達を連れて来ると、物凄く嬉しそうにしてくれるのだ。  確かに、あまり友達自体を家に招く事が少なかったのもあるのが、美希を家に呼んだ時、なんか上客をもてなす対応してくれた。  続いて、遊香も連れて来ようなら、それまた素晴らしき気遣い。きっとこれは、友達にする対応じゃないと思う。  つまり、母親は、私の友達をもてなす事を楽しみにしているらしい。それに関して、二人に変に思われないか確認したら「良いお母さんだね」と二人は、言ってくれたが……  個人的には、なんか変だと思う。彩魅も最近起きた、とある事件……まぁ、豪華客船の一件で、白華家の令嬢である事を了承済みの上で逢いたいようだ。 「うう~美希ちゃんも、ユウちゃんも小説で確認したい事があって、呼んだから彩魅ちゃんは……そう言えば小説とか読むのかな??」  彩魅の趣味を聞かれれば、現状分かっているのは、料理が出来る。これは共通の趣味であるのは、間違いない。  しかし、それ以外の趣味と言えば……うん、まだまだ、彩魅の事を知らない自分だな~と思わず、一人で頷いた。
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