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「いいじゃないの、別に小説読まなくたって。それより、お料理もするなんて、素敵なお嬢様なんでしょう? 母さんにも紹介してくれても良いでしよう?」
「う~ん、まぁ、本人に聞いてみないとなんとも言えないけど、確認してみる事にする。……さて、そろそろ時間かな、ご馳走でした」
「はい、お粗末様でした。今日のお戻りは何時なの??」
「今日は材料が揃い次第だけど……多分、夕方になるかな~」
あれとこれと、買いたい物が沢山あり、果たしてイメージ通りの物が買えるか? そんな悩みに「はいはい」と母親は軽く笑っていた。
食事を済ませ、部屋で支度を済ませると、バック片手に弾んだ声にて「いってきまーす」と出掛けるのであった。
日曜日の静かな朝の時間帯。家を出て電車に揺られて、街中心まで来た。日差しが程好く、そして、まだこの時間は、少し肌寒さを感じ、いよいよ、季節の交代を知らせてくれる。
電車を降り、少ないながら人が往来する改札口まで来れば……
「おはよう~母雲ちゃん」
にっこり優しく微笑む少女。黒い長い髪をおさげにし、少し控えめの眼鏡が、内向的な性格をやや印象付ける。白いシャツの上に薄い黄色のロングカーディガン、デニムのスカートを着こなすのは、赤松美希である。
中学から仲良くなった親友で、共通の話題も多い彼女は、今日も時間より早く来ていたようだ。美希と知り合ってから、今だに、彼女より早く集合場所に来た事がないのだから。
「おはよ~美希ちゃん、その服は、こないだ買ったやつだね??」
「うん。遊香ちゃんがかわいいって言ってくれんだけど~やっぱり私、ちょっと自信ないんだけど……大丈夫かな?」
「勿論だよ! 本当に可愛いから安心してね」
本当、似合っていると思う。でも、ユウちゃん言ってたな~と、思い出す。この服装するなら、髪を下ろして眼鏡も外した方がもっと良いって、力強く言っていた事……多分、合流してら突っ込まれそう。
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