第12章 卍(まんじ)

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「ハァッ……ハァッ……」 まるで 魂を溶かすようなキスなんだ。 「可愛いだろ?こいつ」 律は座った目をして 息切れする僕に跨ると 「逆らわないんだ」 乱れた己の髪をかきあげながら 天宮征司に笑いかけた。 「始まりにこうしてキスしてやると――何しても逆らわないんだ」 けだるい支配者の言う通り。 「な?」 僕はこの瞬間 いつだって底なし沼に足を取られる。
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