第12章 卍(まんじ)

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「上物だな。どこで手に入れた?」 「もともと弟の物だった」 「可偉人の?」 ベッドの四方に縛られた四肢が 張り詰めて震える。 「譲ってもらったのか?」 「まさか。奪い取ったんだ。着のみ着のままアメリカへやって、パスポートを取り上げた」 「わお、あんた本当に鬼畜だな。それで?あいつは大人しく引き下がった?」 「いいや。最初はうるさく騒いでたさ。だけど――」 そんな僕をつまみに 悪魔は2人新しいワインを開け直す。 「代わりに、欲しいものをすべて与えてやったのさ」
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