第12章 卍(まんじ)

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「それ……どういうこと……?」 「分かるだろう?」 ワイングラスを手に 律は拘束された僕を気の毒そうに見下ろした。 「あいつの自己顕示欲の強さ。おまえなら知ってるはずだ」 ぞっとする。 計算づくの瞳が優しく微笑む。 「何不自由ない暮らし、誰もが認める美しい恋人、おまけに異例の出世。研究生2年目でトップダンサーとして凱旋だ」 まさか――。 用意周到に整えられた人生。 「みんなあなたが与えたものだというの……?」
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