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「おっと、俺のせいにするのはお門違いだ」
手も足も出せやしないのに。
降参するように両手を上げて
「選んだのはあいつだよ。刺激的な人生を与えてやったら、愛だの恋だの――ままごとみたいなおまえとの関係などすぐに忘れたとさ」
「なっ……!」
「そんな顔するな。おまえのせいでもない。ただ人生は残酷なんだ」
律は僕を嘲笑う。
「ウゥ……」
行き場をなくした
僕の感情を封印するかのように。
「唇が乾いてる」
「ア……」
真赤なワインに浸した小指の先で
律は僕の唇に卍を描いた。
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