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1階におりると彼女は椅子に座りパンを食べていた。
僕は、脱衣所に行き私服に着替えた。
リビングに行くと彼女は紅茶を飲んでいた。
「それ高いやつだろ。金払えよ」
「手間賃よ。パン焼いておいたから早く食べなさいよ」
僕は、深いため息をつき、椅子に座った。
「なあ、いかなくてもいいだろ。田舎者がいったって馬鹿にされるだけだと思うぞ」
ここアセリア町は、町を少しでも出れば人よりも動物やモンスターに出会う確率が多いくらいのど田舎だ。
だが、教会や学校といった一通りの施設があり、決して悪いところではない。
なんでこんなど田舎にそんな施設があるのかと思うかもしれない。これには理由がある。
昔、僕が来るずっと前にある人の寄付金で建てられたらしい。そのある人の孫娘が僕の目の前にいるユリスだ。
「なあ、ユリス。もう一度考え直せ。僕はどうなってもいいが、君には心配してくれる家族がいるんだろ。ギルドをつくれば危ない目に合うかもしれない」
彼女は飲みかけの紅茶をテーブルの上におき僕の目を数秒見つめてきた。
「この町に何が足りないと思う? この町はいいところよ。でも、病院がない。病院がなければ、けがや病気をしたらここからかなり歩かなければならない。モンスターに襲われる可能性だってあるわ」
「それは・・・・・・わかってるよ」
ユリスは珍しくため息をつくとこういった。
「この町に必要なのはお金なの」
僕は、テーブルの上にあるミルクを一気飲みした。
「わかったよ。でも無理はしないでくれ。もしも、無理をするようならその時はとめるよ」
「やさしいのね。ちょっと目玉焼きでも作ってくる」
ユリスはさっとキッチンに行ってしまった。彼女が涙目になっていたことは、黙っておこう。なぐられるから。
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