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「お嬢様、お食事の用意が出来ました。……お嬢様?」
読んでいた本に栞を挟むと、私は軽く息を吐き廊下のばあやに返答した。
「わかりました。後で行きます」
さて……と、本を机に置き暫く雪景色を眺めて心を和ませた所で今一番の問題に取りかかる。
「う……くっ……んんっ」
両手を畳に着き脚に力を入れる。
……力が入るどころか感覚が無い。まるで自分の身体の一部ではないように。
長時間の正座で脚が麻痺していた。
「どうかなさいました?」
扉の向こうからばあやの声。
「すぐに行きます!」
恥ずかしくて言えない……脚が痺れて動けないなんて。
お願い! 動いて!
すると誓願成就したのか、徐々に感覚が戻り……遂に立てた!……のだが、
「ふぐわぁぁぁあッ!」ドターンッ!
あまりの痺れに奇声を上げ尻餅を着いてしまった。
ばあやの悲鳴と共に扉が開く……ああ、なんて醜態。
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