彼女の位置

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 招待状が本物なのかを私が確かめると思ったようだ。自信満々に、差し出してきた。  でも、残念ながら確かめたいのはそこだけじゃない。  招待状は一人ひとりの好みに合わせて、色や形、香りを変えている。  小規模なパーティーのため、招待客の好みは全て把握している。  一人ひとりに合わせた形のおもてなしを。  それが、パーティーへ参加していただいた方への、最低限の礼儀だと思っている。  「淡い緑とムスクがお好みなのは、柳芝沢出版社の江ノ上様ですね。  江ノ上様からは招待状をお送りしてからすぐに、用事があるため参加することができないというお電話を頂いたと記憶しております。  どうして、これを、お持ちなのでしょうか?」  一言一言、私が口を開く度に、社長は青ざめていった。  「さくら」  「はい」  小さな声で名前を呼んでもすぐに来てくれる位置に彼女は常にいてくれる。  「この方、ご気分がすぐれないようだからタクシーを呼んで、出口まで案内してあげてくれるかしら」  「かしこまりました。少々お待ちください」 .
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